今年4月のある日の出来事です。
連日の疲れが溜まって爆睡したおかげで、その日は早朝5時に目覚めました。そこで、おもむろにPCに向かい、一仕事していると、見守りカメラに映る父の部屋はテレビだけが点いています。
まだ寝てるなと安心していたら、6時前にベッドから抜け出して洗面所に。ここまではいつもと同じです。
しかし、何もせずに部屋に戻り、暗い部屋の中で仁王立ち・・・。
ん?なんか変・・・!?
慌てて父の部屋に行くと、股引とリハパンを脱ぎ、下半身露出状態でポタポタと・・・
床にはグッショリと濡れた介護パンツが転がっています。
どうやらトイレに起きたものの間に合わず、リハパンに漏らしたためにそれを脱いだようです。ただ、まだ蛇口はしまってなかったのね。(^^;)
父は放心状態で、床にできた池の中に立ったままです。
とりあえず、脱ぎ捨てた股引で足を拭き、蛇口を押さえ、トイレに誘導…。陰洗ボトルと洗浄便座で洗って着替えさせました。
続いて床掃除。と言ってもこんな時のためにビニールマットを敷いていたし、ベッドにもラバーシーツを敷いてあるので、サッと拭き取りファブリーズして終わり。天気もいいので早速洗濯…。
ここまでは、予防策が功を奏した話なのですが、最近になり新たな問題が出てきました。
実は、そのビニールマットに破け目ができたので何度かテープで補修してきたのですが、それに気づいた父が剥がしてしまい、却って大きな穴になってしまいました。
そこで、先日、デイサービスに出掛けている間に新たな物に交換したのですが、今度はそれが気に入らないというか、気になって仕方がないようなのです。
翌朝、部屋を覗くと、ビニールマットがすっかり剥がされていました。寝かしつけたときは間違いなく敷いてあったので、夜中に、大きなテーブルをどけて、畳に留めたピンまで外して剥がしたようです。
とりあえず、もう一度敷き直したのですが、今日は私がちょっと買い物に出掛けている間に、再び剥がしました。
困ったものです。もちろん、注意したところで効果はないでしょう。短期記憶が壊れていますから、どんなに説明しても理解できるわけがありませんが、止めさせないと、粗相されたときに大変ですし、怪我の心配もあります。
それにしても、私が敷き直すためにピンを外すのに道具が必要だったのに、素手で全部のピンを抜いてしまうのですから、“認知症”の執念には敵いません。
「認知症の執念」は「火事場の馬鹿力」的なパワーを発揮します。自分の欲求を満たすために全力を注ぐからだと思います。
しかし、それが怖いですね。それを実現するためには怪我をも厭わないのですから・・・。
こんなときは、手足に麻痺がないのが恨めしく思いますが、何はともあれ、どうやって止めさせるか…
認知症への対応としては「否定をしてはいけない」とか「怒ってはいけない」と言いますし、私自身も通常はそれを実践しているのですが、今回は敢えて思いっきり叱ることにしました。
罵声を浴びせ、頭や身体を(軽く)小突き、嫌な記憶として強く心に植え付けるという手法です。
認知症とは不思議なもので、覚えていて欲しいと思うことは全然覚えて貰えないものの、本人が興味を示したこと、嫌だったことなどは、たった一回見られただけでも覚えてしまうんですよね。
これを逆手にとって、嫌な記憶として植え付ければ覚えて貰える可能性があります。
介護職としては絶対にやってはいけない虐待行為になりますが、家族だからこその許容範囲での行動です。もちろん、感情にまかせての罵声や小突きではありませんから、十分に手加減して、怪我などはさせないように注意してはいます。
さて、効果はいかほどでしょうか?明日の朝が楽しみ(?)です。
11月11日 追記
強い叱責の効果があったのかどうかはまだ判りませんが、とりあえず昨夜はマットを剥がすことはありませんでした。
しかし、トイレからトイレットペーパーを持ち出し、それをゴミ箱に捨てていました。なんでいろいろなものに興味を示し、取り込もうとするのでしょうか?まぁ、この程度なら大した問題ではありませんから、とりあえず回収して終わりとしました。
11月12日 追記
今朝、起きて見守りカメラの映像を見ると、ビニールマットが映っていません。昨夜も、“小人”さんが活躍したようです。
今までも、何か“悪戯”しようとしたり、(屋内)徘徊している時に私の足音が聞こえると、直ぐに自室に戻り、おとなしく座っている父です。私が出掛けた時や夜中に作業するのは、それをすると私に叱られることは記憶の中に植え付けられてはいるのだろうと思いますが、やはり自分自身の欲求の方が強いのでしょう。
今回は「私の負け」です。また、新たな対策を考えることにしましょう。
そこで、父が剥がしたくなる現在使用中のビニールマットと剥がすことのなかった以前のビニールマットの違いを考えてみたのですが、以前のものは無地で地味な色合いのものだったことぐらいです。
おそらく、目につきやすいことが、剥がしたくなった理由ではないかと推測しました。しかし、手元にあるビニールマットに手頃なものがありません。
これは新たに買いに行くしかありません。どうせなら、ラバーシーツの方が足の裏の感触もいいだろうと考え、早速購入してきました。
これを畳にピン留めします。さて、今度はどうなるでしょう…。(^^;)
余談ですが、今日の父は、仏壇から「りん棒」を取り、ポケットに入れたり、トイレットペーパーをほぐしたりと大活躍しています。(^^;)
11月17日 追記
ラバーシーツに替えたあとは、父がそれを気にすることはなくなりました。
以前のものがビニールマットだったので、同質のものなら大丈夫かと思い、やってみたのですが、やはり見た目や感触が気に入らなかったようです。
しかし、これで「叱る」ことが不要になったわけではありません。連日、様々な問題行動を重ねる父です。
優しい声がけだけでは再び家長の座(?)を取り戻そうとするからです。TPOに応じた対応が必要ですので、これからも叱ることはあるでしょう。家族介護ならではの手法ですが、これからも続けていきます。
コメント
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